中小企業活性化協議会の再生支援では、企業の状況に応じて再生計画の策定を支援しています。
その際、計画内容が一定の数値基準を満たしているかどうかが、重要な確認ポイントになります。
これらの数値基準は、すでに金融機関への返済条件変更、いわゆるリスケを行っている企業や、今後の資金繰り改善・事業再生を検討している企業にとって、再生計画を考えるうえで重要な目安となります。
協議会の支援により策定する再生計画で求められる主な数値基準は、以下の3つです。
1つ目は、「3年以内に経常黒字化」する内容になっていることです。
これは、主に損益計算書(PL)面での要件です。
本業の収益を示す営業利益に加え、支払利息なども考慮した「経常利益」の段階で、黒字を確保できる計画になっている必要があります。
現時点では赤字であっても、今後の経営改善の施策により、経常黒字化が実現できることが重要です。
なお、減価償却費を十分に計上しないまま経常黒字となっていても、実態を正しく反映しているとはいえません。
あくまでも、適正な減価償却を実施した後の経常利益で判断します。
2つ目は、「5年以内に実質債務超過を解消」する内容になっていることです。
これは、主に貸借対照表(BS)面での要件です。
純資産がマイナス、つまり債務超過の状態では、財務内容が不健全と見なされ、金融機関の自己査定においても厳しい見方をされる可能性があります。
現時点で債務超過の状態にある場合でも、今後の改善・再生に向けた施策によって債務超過を解消し、健全な財務内容に近づけていくことが求められます。
なお、債務超過額を算出する際は、帳簿上の純資産だけで判断するのではなく、財務会計上の修正や資産の時価評価の修正を行います。
さらに、中小企業特性なども考慮したうえで、実質的な債務超過額を算定します。
3つ目は、再生計画の終了年度、原則として実質的な債務超過を解消する年度に、「有利子負債の対キャッシュフロー(CF)倍率が10倍以内」となる内容になっていることです。
これは、借入金と返済原資であるキャッシュフローとのバランスを見る要件です。
有利子負債から現預金と正常な運転資金を控除した金額を「要償還債務」といいます。
この要償還債務を、経常利益をベースに算出したキャッシュフローで割ることで、会社の借入金負担の程度を測るものさしとしています。
計算式は以下のとおりです。
A=有利子負債※①-現預金-正常運転資金※②
B=経常利益+減価償却費-法人税・住民税等
➡ A÷B ≦ 10
※① 有利子負債=短期借入+長期借入+社債+割引手形
※② 正常運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務(不良債権を除く)
これらの数値基準は、金融機関に説明するためだけのものではありません。
自社が今後どの程度の利益を確保すべきか、借入金をどのくらいの期間で返済できる体質に戻すべきかを考えるための、経営改善の目標にもなります。
ただし、すべての企業が最初からこの基準を満たせるとは限りません。
状況によっては、段階的に再生計画の策定を進める方法が検討される場合もあります。
この点については、次回の【後編】で詳しく解説します。
協議会の再生支援についてさらに詳しくお知りになりたい方は、中小企業庁WEBサイトの中小企業活性化協議会の「実施基本要領(別冊2)~再生支援実施要領」および「再生支援実施要領Q&A」をご参照ください。
なお、次回の【後編】では、「3年・5年・10倍」の意味について解説する予定です。ぜひ併せてご覧ください。
2026/7/31







