「勘定合って、銭足らず」という言葉をご存知でしょうか。
帳簿上では利益が出ているのに、実際の資金が不足している状態を表しています。
その結果、黒字であるにも関わらず倒産してしまうことを「黒字倒産」といいます。
【頭の体操 その1】
- 事業主が現金100円を元入れとして事業を開始した。
- 70円でバナナを仕入れて、掛け売りで200円で販売した。
(そもそもバナナを掛け売りするのか、という問題がありますが、ここでは無視してくださいね。)
この取引をPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)にすると以下の通りです。

利益は130円です。
【頭の体操 その2】
- 事業主が現金50円を元入れとし、さらに50円の現金を借入金として調達した。
- 70円でバナナを仕入れ、掛け売りで200円で販売した。
この取引をPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)にすると以下の通りです。

この取引ではPL(損益計算書)上は先ほどと同じ内容になります。
しかし、BS(貸借対照表)を見てみましょう。
借入金が50円あるのに手元の現金は30円しかありません。
このままでは借入金の期限が到来すると現金が不足し、
デフォルト=債務不履行(倒産)となる可能性があります。
これが「勘定合って銭足らず」の現象です。
借入金の返済には利益ではなく、キャッシュ(現金)が必要です。
基本的なことですが、手元に残っているキャッシュこそが現実であり、
利益は大事ですが、キャッシュはそれ以上に大切です。
経営判断の際、実際の資金の動きであるキャッシュを意識する必要があります。
2025.2.19