多くの日本の大手企業のウェブサイトを見ると経営理念を掲げている企業が多いことが気づくでしょう。
その経営理念には、企業が社会に何を提供するか、企業が存在する「目的」が記載されています。
どの企業も経営理念に「売上を上げて利益を追求する」ということを掲げていません。
なぜなら、売上や利益は「手段」に過ぎないからです。
経営理念が主たる「目的」であり、その目的のために「手段」として売上や利益が必要になるのです。
本来「目的」を達成するために「手段」は存在します。
しかし、その「手段」を実行すること自体が「目的」になってしまう場合があります。
これは、良い現象ではありません。
手段が目的化してしまうと、真に追求すべき目標が見失われてしまいます。
経営改善や、事業再生という業務においても、手段が目的化していないか、
よく考える必要があります。
例えば窮境の状況で、取引金融機関に対して借入返済条件の見直し、
いわゆる「リスケジュール」を要請することになる場合があります。
その際、金融機関からは将来的な返済再開に向けた
「事業計画」「経営改善計画」の策定を求められます。
私たちは、何のためにこれらの計画を策定するのか、
改めて目的に立ち返る必要があります。
金融機関にリスケを認めてもらう計画を策定する、ということは「手段」です。
本来の「目的」は、「安定的な事業継続」と「金融取引の正常化」です。
「安定的な事業継続」については理解いただけると思います。
「金融取引の正常化」とは、適時適切なタイミングで金融機関からの借入が可能な財務内容にするということです。
赤字や債務超過、過剰債務の状態ではなく、金融機関が積極的に借入の相談に乗ってくれる状態です。
「計画を策定する」ことが「目的」になっていないか、「計画策定」に着手する前に、
十分認識しておかなければならないと思います。
「目的」を意識し、適切な「手段」を選ぶことが、企業の未来を切り開く鍵となります。
常々立ち止まって考えてみることが必要だと感じています。
2024.12.18