知っておきたい用語集
アクションプラン
経営改善施策別に、いつ・どこで・誰が・何を・どのように実施するかの手順を示した行動計画のこと。
過剰債務
債務が企業の返済能力の適正水準を超えている状態のこと。様々な考え方があるが、一例としては、企業の有利子負債から正常運転資金と現金預金、換価性のある有価証券の価値を引いて算出した要償還債務のうち、企業のフリーキャッシュフローの10倍を超えている額。
金融機関の格付け
金融機関が取引先の財務や非財務の状況等を分析してスコア化し、スコアに応じて独自に付与しているランク付け。債務者区分をさらに詳細に区分したものになる。
金融機関が求める計画
業況が思わしくない取引先に対し、金融機関が今後の収支計画や設備投資計画、資金繰り計画などの提出を求めるもの。
経済合理性
金融機関が金融支援を行った場合の債権回収見込額が、現時点で債務者企業が破産した場合の清算配当率に基づいた配当見込み額を上回っていること。
関連:清算配当率
検証型
協議会が編成した個別支援チームが、相談企業のデューデリジェンスを行い、再生計画案を策定するのが再生支援の流れだが、相談企業自身が行ったデューデリジェンス等の結果を協議会が編成した個別支援チームが検証することにより再生支援を行うことも可能であり、後者の方式を検証型という。
合実計画
合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画のこと。要件としては、
①「計画期間」が原則として概ね5年以内であり、かつ、計画の実現可能性が高いこと。ただし、中小企業については「5年を超え概ね 10 年以内」であっても、明らかに達成困難と認められなければ、差し支えない。
②「計画期間終了後の債務者区分」が原則として正常先であること。ただし、計画期間終了後に、金融機関の再建支援を要せず、自助努力により事業の継続性を確保することが可能な状態となる場合は、「要注意先」であっても差し支えない。
③「取引金融機関等の支援状況」
全ての取引金融機関等が、経営改善計画等に基づく支援に合意していることが確認できること。
④「金融機関等の支援内容」 支援の内容が、金利減免、融資残高維持等に止まり、債権放棄、現金贈与などの資金提供を伴うものではないこと。ただし、経営改善計画等に基づき今後債権放棄等を計画的に行う必要があるが、既に支援による損失見込額を全額引当金として計上済で、今後は損失の発生が見込まれない場合などを含む。
債務者区分
金融機関が債務者の信用格付けを行い、債務者を正常先・要注意先・破綻懸念先・実質破綻先・破綻先の5つに分類すること。
債務償還年数
現在の利益水準で、債務を返済するまでに必要な年数のこと。様々な考え方があるが、一例としては、企業の有利子負債から正常運転資金と現金預金、換価性のある有価証券の価値を引いて算出した要償還債務を、企業の年間キャッシュフローで割ったもの。
実質純資産(実態財務)
様々な考え方があるが、一例としては、帳簿上の純資産額に、固定資産の減価償却不足や、引当金の計上漏れなど財務会計上の修正を行い、不動産を時価評価するなど資産の含み損益等の修正を行ったもの。
実抜計画
実現可能性の高い抜本的な経営再建計画のこと。「実現可能性の高い」とは、
①計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること、
②計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと、
③計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること、という要素を満たす必要がある。
「抜本的な」とは、概ね3年後の当該債務者の債務者区分が正常先となることをいう。とされているが、中小企業の場合は、「概ね5年以内(5~10年で概ね計画どおり進捗している場合を含む)で、計画終了後正常先となる経営改善計画が策定されていること」「計画終了後に自助努力により事業の継続性を確保できるのであれば、債務者区分は『その他要注意先』であってもよい」とされている。
私的整理
裁判所が関与せず、当事者間の合意に基づき債務を整理すること。活性化協議会のスキームも私的整理に属する。
関連:法的整理
資本性借入金
借入金ではあるものの、償還条件、金利設定、劣後性などの貸出条件を踏まえると、資本に準じた十分な資本的性質が認められる場合、当該借入金を債務者の資本とみなして取り扱うことが可能であるものをいう。
ステークホルダー
利害関係者のこと。株主、債権者、取締役、従業員、顧客など
清算配当率
会社が破産して資産を現金化し、債権者に弁済を行う際の配当率のこと。再生計画においては、取引金融機関にとって、清算配当率を上回る債権の回収が見込まれることが必要である。
関連:経済合理性
正常収益力
企業が正常な営業活動を行った際に得られる継続的な収益力のこと。不適切経理や一時的な要因を除外した上で、3~5期間の平均を出して求めることが多い。
責任論
金融支援を求めるにあたり、経営者・株主・保証人は一定の責任を取る必要がある。求められる内容は、金融支援の手法に応じて異なる。リスケを要請する場合は、経営者の退任、株主権利の消滅、保証債務の履行までは求められないことが多い。
第二会社方式
一つの企業を、存続させたい事業と清算したい事業・過剰債務に分け、存続させたい事業については、会社分割や事業譲渡により、新たに設立した法人等に引継ぎ、清算したい事業・過剰債務についてはそのまま企業に残し、企業を特別清算や破産手続きで清算することにより、実質的な債権放棄を受けるスキーム。
不動産鑑定評価
不動産鑑定士が、不動産の経済価値を判定し、鑑定評価を行うこと。協議会の手続きでは、債権放棄やDDSなどの金融支援が必要な場合に、不動産鑑定士の鑑定評価が必要となる。
フリーキャッシュフロー
企業が事業活動から獲得したキャッシュから、設備投資にかかったキャッシュを控除した額。
プロラタ方式
プロラタとは、比例按分という意味。例えば、既存の債務を返済できなくなった場合など、現状の収益力を基に複数の金融機関への返済額を再設定する際に活用される。借入残高で比例按分する残高プロラタや、借入残高のうち担保でカバーされていない金額(信用額)で比例按分する信用プロラタなどがある。
法的整理
法律に基づき、裁判所を通じた債務整理や再生を行う手続き。清算型の破産、特別清算と、再生型の民事再生、会社更生がある。
関連:私的整理
ポスコロ
早期経営改善計画策定支援事業(ポストコロナ持続的発展計画事業)のこと。詳しくはコチラ
モニタリング
経営改善計画の進捗・実行状況を把握し、計画と実績の乖離分析を行い、必要に応じて修正案を検討するプロセスのこと。
リスケ(リスケジュール)
金融支援の一つ。業績の悪化等により債務の返済が困難になった債務者に対して、債権者が債権の条件変更を行うこと。具体的には、一定期間元金の返済を猶予したり、当初の返済額を減額したりすること。
DD (デューデリジェンス)
事業再生の対象会社に対する企業調査のこと。調査する対象によって、財務DDや事業DD 、法務DD、人事DDなどいくつかの種類がある。協議会の再生支援においては、財務DDと事業DDを行う。
DDS(デット・デット・スワップ)
金融機関が既存の貸出債権を一般債権よりも返済順位の低い劣後ローンに切り替えること。
DIPファイナンス
DIPはDebtor In Possessionの略。再生局面にある企業に対し、事業継続に必要な運転資金や設備資金を融資すること。
EBITDA(イービッダー)
企業価値評価の指標の一つ。支払利息や税金、減価償却費を差し引く前の利益のこと。利率や税率、償却方法の違いを排除して比較ができるため、本業の事業活動の利益を表しているとされている。
SWOT分析
経営戦略を立案するための現状を分析する手法のひとつ。事業再生の局面では、窮境原因や経営課題の把握を行う。内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの視点から債務者企業の経営状況を分析する。